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休業手当は60%ですが、実際は60%未満になる??【計算例あり】

2020.07.02

その他労働基準法

みなさまこんにちは、上地正寿です。


本日は、会社都合で休ませた場合の休業手当について説明します。


労働基準法ではどうなっているのでしょうか。


労働基準法第26条(休業手当)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。


「使用者の責に帰すべき事由」とはどのようなものがあるのか。


●使用者の責に帰すべき事由による休業とは


使用者が休業になることを避けるため社会通念上の最善の努力をしたかどうかによって判断されるべきものと考えられています。不可抗力による場合以外は、ほとんどの場合において使用者の責めに帰すべき事由に該当するものと考えられます。


●実際に支払う休業手当


実際に会社都合で休ませて、労働基準法に定める「休業手当」はどれくらい支払われなければならないのでしょうか。


労働基準法では、「平均賃金の100分の60以上」と定められています。


一日のうち、数時間だけ休業させた場合でもその日について、全体として平均賃金の100分の60までは支払わなければなりません。


実際に働いた時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たないときには、その差額を支払う必要があると通達にもあります。(昭27基収3445)


休業手当は労働協約、就業規則、労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務はありません。(昭24基収4077)


また、休業手当は労働基準法11条の賃金と同じですので、本来の給料の支給日までに支払う必要があります。

●休業手当の計算例


それでは実際に休業手当の計算例をみてみましょう。



7/1~7/31まで会社都合による休業

(所定労働日数22日、所定休日9日)


4月分

総日数30日、労働日数21日、総支給230,000円

5月分

総日数31日、労働日数22日、総支給230,000円

6月分

総日数30日、労働日数21日、総支給額230,000円


3か月平均

690,000円(総額)÷91(総日数)=7582.41円/日額…① 


最低保証

690,000円(総額)÷64日(労働日数)×60%=6468.75円/日額…②


平均賃金は①②いずれか高いほうとなるので、

1日あたりの平均賃金は「7582円41銭」となります。

休業手当は最低60%以上ですので、60%で計算すると、
7582円41銭×60%=4549円44銭となります。

その日額に休業22日を乗じます。
4549円44銭×22日=100,087円 → これが1か月休んだ場合の休業手当です。


総支給は230,000円ですが、1か月休んでも10万円ほどしか支給されないことになります。


この理由として、

(1)休業手当は60%であること

(2)本来出勤する日の分しかもらえないこと


以上のことから、実際の休業手当は少なくなるのです。


そんな理不尽な!と思っても労働基準法上はこのルールになっています。


また、民法には以下のルールがあります


債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
(民法536条第2項)


民法のルールに従えば全額請求できることになっていますが、労働基準監督署は民法で動くことはできませんので、全額もらおうと思ったら民事訴訟ということになります。


その場合でも100%認められるかどうかはわかりません。


休業手当で生活ができないということになるので、会社はできるだけ配慮をしたほうがいいですが、難しい場合でも労働基準法の休業手当は支払うようにしてください。



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今日も最後までお読みいただきありがとうございます。

皆さんにとって、素敵な一日になりますように!!



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