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1,000円の着服で退職金が不支給になった例

2025.04.28

その他

みなさまこんにちは、上地正寿です。


令和7年(2025年)4月17日に衝撃的な判例がありました。


1,000円の着服で1,200万円の退職金の全額不支給が適法と判断された最高裁判例です。

市バスの運転手が運賃1,000円を着服したことと電子たばこの使用などの問題により、会社から懲戒解雇されたうえで退職金が支給されなかったという事例です。

たった1,000円の着服で退職金不支給は重過ぎるのでは? と感じる人も多いと思います。

これまで、退職金はよほどの非違行為がない限り全額不支給は難しいと考えられてきましたが、最高裁は、単に金額が1,000円という少ない金額よりも、公金の着服という行為の重大性と、運賃を直接受領できる立場にあったことから求められる高い倫理性に注目しています。
加えて、一週間に5回の電子たばこ使用など、労働者の勤務態度の問題も評価されています。

また、この判例では、金額の大小よりも、信頼関係が損なわれたことが重要視されています。


職場では会社の備品や資産を扱うことも多いですが、その際は、次の点を意識したほうがいいでしょう。

・会社のお金や物は、許可なく私的に使用しない
・小さな不正行為でも、今後のキャリアに大きな影響を及ぼす可能性がある
・誠実さと正直さが、長期的なキャリアを左右する


具体的には

・会社の文具を私用で持ち帰らない

・経費精算における正確な報告を心がける

・会社のコピー機や通信機器を私的な用途で使用しない

などがあげられます。


この判例は、職場における「信頼関係」の重要性を感じさせてくれるのではないでしょうか。
些細と思われる行動が、予想以上に大きな代償をもたらすことがあります。
金銭の大小ではなく、信頼を損なう行為をしないことが大切だと感じさせてくれます。



最高裁HP: 令和7年4月17日最高裁判所第一小法廷 判決(懲戒免職処分取消等請求事件)

市のバス運転手が運賃1,000円を着服したことと電子たばこの使用を理由に懲戒免職処分および退職手当の全額支給制限処分を受けた事案。最高裁は、29年の勤続年数や少額の着服であることを考慮しても、公金着服の重大性と運転手の職責から、退職手当全額不支給とした判断は裁量権の範囲内であると判示した。




北谷で


今日も最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さんにとって、素敵な一日になりますように!!


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